ブリーダー向け管理ツール3選を比較|自犬舎に合う選び方を解説!
親犬の情報や血統管理、繁殖イベント記録にワクチンや健康診断、販売先、法令に基づく台帳。ブリーダーが日々管理しなければいけない情報は膨大なため、紙媒体やエクセルの管理に限界を感じているブリーダーさんも多いのではないでしょうか。
こうした膨大なブリーディング情報を集約的に管理するために利用されるのが、ブリーダー向けの管理ツールです。各種ツールにはそれぞれの特徴があり、繁殖や血統の管理を重視するもの、法定台帳の作成を重点的に支援するもの、大規模施設での帳簿管理に強いものなど、それぞれ得意分野が異なります。
この記事では各公式サイトに公開されている情報をもとに、日本で利用できるブリーダー向け管理ツールを比較します。自犬舎の運用に合うツールを選ぶための判断材料としてご参照ください。
ブリーダー向け管理ツール
ブリーダー向け管理ツールとは、生体情報と、繁殖・健康・販売・申請などの記録をまとめて管理するためのソフトウェアやクラウドサービスです。
代表的な管理項目には、次のようなものがあります。
- 親犬の基本情報、血統、親子関係
- ヒート、交配、妊娠、出産の記録
- 子犬の体重、成長、ワクチン、健診履歴
- マイクロチップ番号や血統書などの書類情報
- 購入者、販売日、引渡し状況などの販売記録
- 繁殖実施状況記録台帳、個体管理帳簿、定期報告に必要な情報
日本では、第一種動物取扱業者のうち、動物の販売などを行う事業者に、個体に関する帳簿の作成と5年間の保存が求められています。環境省は、パソコンなどによる電磁的な記録も認めており、毎年度の定期報告も必要としています。
管理ツールを利用すると、日々入力した繁殖記録や健康記録を参照して、各種申請や台帳などを自動で生成する、といった効率化が可能です。同じ情報を複数の書類へ転記する手間を減らせるだけでなく、記入漏れや確認漏れを防ぎやすくなることが主なメリットです。
そうした申請・台帳対応に加え、一部のツールではブリーディングそのものを支援するための機能が搭載されていることもあります。例えば、Churpi(ちゅるぴ)では両親の祖先情報を参照し、自動的にCOI(近交係数)を計算し、不適切なペアリングを除外する血統分析機能を提供しています。
ブリーダー向け管理ツールの普及状況
海外、とくにアメリカでは、ブリーダー向けの記録管理をオンライン化するツールや仕組みが徐々に広がってきています。
American Kennel Club(AKC)は、AKCのブリーダーが無料で利用できる「Breeder Toolkit」を提供しています。
民間サービスにも、血統、交配、リター、医療記録、契約、購入希望者、支払いなどをまとめて管理する製品が複数存在します。
こうした流れを受け、日本でも繁殖・血統管理に力を入れたサービスが登場してきています。今後は、「管理ツールを使うかどうか」といった論点から、「自分の犬舎の特性を踏まえ、どのサービスを採用すべきか」を比較検討して決める、といった変化が起きるかもしれません。
ブリーダー向け管理ツールを選ぶ5つの比較ポイント
ツールやサービスを検討する際には、自犬舎の特徴や強み、普段の業務に照らして、最適な選択肢を採用することが重要です。
以下の5つのポイントで検討すると、整理がしやすいでしょう。
1. 繁殖の流れを管理できるか
ヒート、交配、妊娠、出産を個別に記録できるだけでなく、一連の繁殖サイクルとして確認できるかを見ます。複数の親犬を管理する場合は、予定日、過去の出産、親子関係を一覧で確認できることも重要です。
血統を重視する場合は、家系図の表示、近交係数の計算、遺伝疾患リスクの確認、交配候補の抽出に対応しているかも確認しましょう。
2. 健康記録を管理できるか
ワクチン、健康診断、投薬、検査、病歴、体重など、日常的に残したい情報を記録できるかを確認します。
記録自体には対応していても、入力が手間であったり、出先での記録ができないようだと、定着しないリスクが高まります。実際の飼育場所や動物病院などの出先からでも、スマートフォンで記録の入力・参照ができるかも重要です。
3. 申請と法定台帳を管理できるか
個体管理帳簿、繁殖実施状況記録台帳、定期報告書など、法令で求められる記録に対応しているかを確認します。
あわせて、血統書やマイクロチップ申請など、ブリーダーが日常的に作成する申請を生成できると、データ管理のメリットがより一層高まるでしょう。
申請・台帳などを実際に生成する際、簡単に行えるか、自動生成に対応しているか、なども重要なポイントになります。
4. 長く使い続けられる料金か
月額制、協会会員向け無料、買い切り型など、料金体系はサービスごとに異なります。
導入時の安さだけでなく、管理頭数が増えた場合の料金、複数人で利用する場合の追加費用、サポート費用なども含めて、継続可能な金額かを確認しましょう。
5. 現場で無理なく使い続けられるか
ブリーダーはパソコン作業ができる環境で常に仕事をしているわけではありません。ショーや病院、日々のお世話など、出先や別室でもスマートフォンで記録の入力・参照ができることはとても重要です。
また、ツール自体の使いやすさやデザインに加えて、操作に詰まった際のサポート体制なども、継続してストレスなく利用を続けるためには確認しておきたいポイントです。
日本で利用できるブリーダー向け管理ツール3選
まずは、それぞれのサービスがどのような犬舎に向いているかを簡潔に整理します。
- Churupi:繁殖記録を中心に、血統管理、各種申請や台帳、販売まで、全フローを一元管理したい犬舎
- あんしんペット台帳:日本ペット協会員として追加料金をかけず、健康記録や法定台帳の管理を始めたい犬舎
- PetShopDB:事務所のPCを中心に、第一種動物取扱業の帳簿や定期報告書を作成したい大規模事業者
| サービス | 特に向いているケース | 利用環境 | 公開されている料金情報 |
|---|---|---|---|
| Churupi | 繁殖・血統・申請・情報公開を一つにつなげたい | パソコン・スマートフォン・タブレット | 親犬15頭まで月額1,290円。30日間無料トライアル |
| あんしんペット台帳 | 費用を抑えて健康記録と法定台帳を管理したい | パソコン・スマートフォン・タブレット | 日本ペット協会員は追加料金なしで利用可能 |
| PetShopDB | PCで帳簿や定期報告書を作成したい | パソコン | PC版56,000円 |
機能や料金、無料利用の条件は変更される場合があります。導入前に、各サービスの公式サイトで最新情報をご確認ください。
各サービスの特徴を詳しく比較
1. Churupi:繁殖管理と情報活用を一つにつなげたいブリーダー向け
Churupiは、繁殖サイクル管理から血統分析、各種申請・台帳の自動生成まで、すべての流れをまとめて管理できるクラウドサービスです。
日々入力した記録を、犬舎内の業務効率化だけで終わらせず、販売サイトへの情報公開へ直接つなげられることも特徴です。
主なポイント
- ヒート、交配、妊娠、出産を一連の流れとして管理できる
- 家系図、COI(近交係数)、遺伝疾患リスク、交配シミュレーションに対応
- 血統書やマイクロチップの申請データを自動生成できる
- 法令で定められた台帳を、登録済みの情報から自動生成できる
- 成長記録や親犬情報を「わんちゃんカルテ」として外部に公開できる
親犬の初期登録時には、血統書PDFをまとめてアップロードするだけでAIが登録をすべて自動で行うなど、導入時の入力作業も減らす工夫がある他、ヘルプチャットやオンラインサポートもすべて無料で提供しています。
向いている犬舎:繁殖記録、血統分析、申請書類、販売サイトへの情報公開を、一つのプラットフォームでまるっと管理したい犬舎。
2. あんしんペット台帳:費用を抑えて法令対応と日常管理を始めたいブリーダー向け
あんしんペット台帳は、日本ペット協会が提供するWebアプリです。犬の繁殖、健康、販売に関する記録と、法律で求められる台帳の管理に対応しています。
大きな利点は、日本ペット協会員であれば、ツール利用に追加料金がかからないことです。毎月のシステム利用料を増やさず、クラウド型の台帳管理を始めたい場合に検討しやすいサービスです。
主なポイント
- 投薬、ワクチン、受診、病歴などを記録できる
- 繁殖回数の上限に近づいた際の通知に対応
- 個体管理帳簿、繁殖状況記録、定期報告届出書などを出力できる
- 販売先、販売価格、重要事項説明の実施状況を管理できる
- パソコン、スマートフォン、タブレットから利用できる
無料で利用できるのは協会会員であり、非会員の継続利用には使用料が必要と案内されています。導入を検討する際は、協会の会員費を含めた条件を確認しましょう。
向いている犬舎:協会会員として追加のシステム利用料をかけず、健康記録や販売記録、法定台帳をまとめたい犬舎。
3. PetShopDB:PCで帳簿と定期報告を作成したい事業者向け
PetShopDBは、DoPlanが販売するパソコン用の管理ソフトです。犬を含む複数の動物種と、第一種動物取扱業に必要な帳簿・報告書の管理に対応しています。
主なポイント
- 個体の購入、販売、交配、繁殖、産出子、種親を管理できる
- 販売・引渡帳簿、譲受飼養帳簿、貸出帳簿、保管帳簿を作成できる
- 死亡に関する記録や定期報告書の作成に対応
- 月額制ではなく、PC版は買い切り型として提供されている
- 複数ユーザーや複数拠点向けのクラウド版も案内されている
事務所のパソコンを中心に運用し、帳簿や報告書を印刷する業務を重視する場合に検討しやすいサービスです。
向いている事業者:パソコン中心の運用で、第一種動物取扱業の帳簿や定期報告書をまとめて作成したい事業者。
まとめ:自分の犬舎の課題と運用に合うツールを選ぶ
ブリーダー向け管理ツールは、サービスごとに想定している利用者や業務の範囲が異なります。
繁殖と血統を中心に管理したい犬舎、追加費用を抑えながら法定台帳を整えたい犬舎、事務所のPCで帳簿や定期報告書を作成したい事業者では、適したサービスも変わります。
自犬舎でのお困りごとに合わせて、実際の運用に無理なく組み込めるサービスを選ぶことが大切です。
自分の管理方法や改善したい業務に合うツールを選ぶことが、記録を継続し、日々の犬舎運営に活かすための第一歩です。