COI(近交係数)の計算方法|ブリーダー向けに分かりやすく解説!

COI(近交係数)の計算方法|ブリーダー向けに分かりやすく解説!

「この組み合わせで交配した場合、COIは何%になるのか」
「血統書を見ながらCOIを計算したいけれど、どう考えればよいのかわからない」
繁殖計画を立てる際に、こうしたお悩みを抱えるブリーダーも多いのではないでしょうか。

COI(近交係数)は、その生体の血統に共通祖先がいるとき、その共通祖先に由来する同じ遺伝子を父方・母方の両方から受け取る確率を表した指標です。一般に「%」で表し、血統上の共通祖先が近いほど、また同じ祖先が何度も現れるほど数値は高くなります。

近交係数は英語でCoefficient of Inbreedingといい、COIと略されます。この記事では犬の例を中心にしつつ、難しい数式をなるべく使わずにCOI(近交係数)の計算方法を解説します。そのうえで、実務では何が大変なのか、Churupiでどのように自動化できるのかまで説明します。

COI(近交係数)とは?

COIは、遺伝学者Sewall Wrightが体系化した指標です。ブリーディングでは、「ある生体について、父と母がどの程度、共通の祖先を持っているか」を数値化し、その遺伝的な近さや近親交配の程度を把握するときに使われます。

厳密な定義では、COIとは「ある遺伝子座について、父方と母方から受け取った2つの対立遺伝子が共通祖先に由来する同一の遺伝子である確率を表す数値」です。例えばCOIが12.5%なら、「父方と母方から受け取った2つの対立遺伝子が同祖由来となる確率が12.5%と見積もられる」という意味です。

ここで大切なのは、COIはあくまで血縁の濃さを表す指標であり、その生体の健康状態そのものを示す点数ではないということです。実際に交配計画を立てるときは、COIだけでなく、遺伝子検査、健康状態、性格、体型や犬種・猫種の特性などを踏まえ、総合的に判断する必要があります。

COIが高くなるほど、虚弱化や寿命の短縮、遺伝性疾患などの健康リスクとの関連が報告されており、適切な水準に管理することは重要です。一方で、COIはあくまで繁殖計画を考えるうえでの指標の一つであり、「COIが低ければ良い交配である」とは限らない点にも注意が必要です。

血縁関係ごとのCOIの目安

共通祖先自身に近交がなく、ほかに重複する祖先がいない単純な血統を仮定すると、代表的な組み合わせにおけるCOIは次のようになります。

交配する2頭の関係 生まれる子のCOI
親 × 子 25%
全きょうだい同士 25%
祖父母 × 孫 12.5%
半きょうだい同士 12.5%
いとこ同士 6.25%

実際の血統では、さらに別の共通祖先が含まれることも多いため、上の数字をそのまま当てはめるのではなく、血統全体の祖先関係を考慮したうえで計算する必要があります。

COI(近交係数)の計算方法

ブリーダーがまず押さえておきたいのは計算式そのものではなく、「父方と母方の両方に出てくる共通祖先を探し、その祖先がどれくらい近い位置にいるかを確認する」という考え方です。

COIの計算手順を単純化すると、次の流れになります。

  1. 父と母の血統を並べ、両方に登場する同じ祖先を探す
  2. その祖先が、父側・母側からそれぞれ何世代離れているかを見る
  3. 近い共通祖先ほどCOIへの影響を大きく、遠い祖先ほど小さく見積もる
  4. 共通祖先が複数いる場合や、同じ共通祖先へ至る経路が複数ある場合は、重複しない有効な経路ごとの影響を合計する
  5. さらに、共通祖先自身にも近交がある場合は、その影響も加味する

つまり、単純に「同じ名前の祖先がいるか」を確認するだけでは不十分です。どの祖先が、父方と母方のどこに現れているかを一つずつたどっていくのがCOI計算の基本です。

計算式の詳細はこちら

COIは、一般にWrightの近交係数の式を使って計算します。

```
F = Σ (1/2)^(n₁+n₂+1) × (1+Fₐ)

記号の意味は次のとおりです。

  • F:これから生まれる子のCOI(近交係数)
  • Σ:父方・母方の経路が共通祖先以外では重ならない「有効な経路」の組み合わせについて計算し、その影響を合計するという意味
  • n₁:父側から共通祖先までの世代数
  • n₂:母側から共通祖先までの世代数
  • Fₐ:その共通祖先自身のCOI

やっていることは上で説明した「共通祖先までの距離を父側・母側それぞれで数え、重複しない有効な経路ごとの影響を足し合わせる」という作業です。以下の計算例では、この式を意識しなくても考え方がつかめるように説明します。

```

計算例1:親と子を交配する場合

たとえば父Aと、その娘Bを交配するとします。

この場合、父Aは「交配する片方そのもの」であり、もう片方の娘Bにとっては1世代上の父親です。共通祖先が非常に近い位置にいるため、その影響は大きくなります。

ほかに共通祖先がなく、A自身にも近交がない単純な血統を仮定すると、親子から生まれる子のCOIは25%になります。

計算例2:半きょうだい同士を交配する場合

次に、父親だけが同じ半きょうだい2頭での交配を考えます。2頭の血統を並べると、どちらも1世代上に同じ父Aがいます。

親子交配と比較すると共通祖先は一段遠くなるため影響も小さくなり、ほかに共通祖先がない単純なケースでは、半きょうだい同士から生まれる子のCOIは12.5%になります。

計算例3:いとこ同士を交配する場合

いとこ同士では、一般的な家系なら共通の祖父と祖母がいます。ただし、その祖父母は両方の生体から見て2世代上です。

半きょうだいよりさらに遠い位置に共通祖先がいるため、一頭ずつの影響は小さくなります。一方で共通祖先は祖父と祖母の2頭いるため、両方の影響を合算する必要があります。

ほかに祖先の重複がない単純なケースでは、いとこ同士から生まれる子のCOIは6.25%になります。

このように、COIは「共通祖先が近いほど高くなる」「共通祖先が複数いれば、その分だけ影響が重なる」と考えるとイメージしやすくなります。

近年、注目が高まるCOI

COIは以前から繁殖計画に使われてきた指標ですが、近年はブリーダーや登録団体だけが確認する数字ではなく、これから犬を迎える人自身が確認できる情報としても扱われるようになっています。

たとえば英国のRoyal Kennel Clubでは、犬種ごとのページから、購入を検討している子犬の両親についてCOIを確認できる導線を用意しています。ブリーダーだけでなく、これから犬を迎える側も血統上のCOIを確認できる仕組みが提供されています。

「どのくらい近交しているのか」を犬を迎える側が自分で確認できる環境も整いつつあり、COIがブリーダーだけでなく購入検討者にも触れられる情報になってきていることがわかります。

実際、海外の犬に関するオンラインコミュニティでは、子犬を迎える前の購入検討者が
「このCOIは高すぎないか」
「この組み合わせをどう考えればよいか」
と相談する事例も見られます。こうした事例からも、従来の選定軸に加えて、COIを確認したうえで子犬を迎えようとする購入検討者がいることがわかります。

また、登録団体側でもCOIや近親交配を具体的なルールへ取り入れる動きがあります。ノルウェーのNorsk Kennel Klub(NKK)は、2025年6月1日以降に行われる交配について、5世代の血統をもとに算出した「近交増加」が12.5%以上となる交配を禁止しています。規定違反時には、子犬の登録を認めない、繁殖制限付きで登録するといった対応の対象になり得るとしています。

国や団体によって基準や計算方法は異なりますが、遺伝的多様性や近交の程度を、繁殖する側・迎える側の双方が意識する流れが、少しずつ具体的な形として表れてきています。

COIは何%なら安全?

「何%以下なら絶対に安全ですか?」という疑問もよくありますが、COIだけで一律の安全ラインを決めることはできません。

同じCOIでも、犬種・猫種全体の遺伝的多様性、血統情報がどこまでそろっているか、どの祖先が重複しているか、遺伝疾患の検査結果、そのほか様々な形質の現れ方などで、その意味合いは変わります。Royal Kennel Clubも、犬の交配判断ではCOIだけでなく、気質、遺伝的多様性、外貌、健康検査、生体の健康状態などを合わせて考えるよう案内しています。

実務では、COIを「交配を決める唯一の点数」ではなく、候補を比較し、あらかじめ定めたCOI基準を超える組み合わせを除外するための足切り指標の一つとして扱うのがわかりやすいでしょう。

日本でも、ジャパンケネルクラブ(JKC)が繁殖にあたって両親だけでなく祖先まで血統内容を確認すること、遺伝性疾患の知識を深めて無計画な繁殖をしないことを案内しています。COIは、そうした血統確認を数字の面から補助するための一つの材料と考えると位置づけやすいでしょう。

実際の血統でCOIを手計算するのが大変な理由

ここまでのような単純な血縁関係なら、比較的計算がしやすいでしょう。ところが実際の純血種の血統では、話は一気に複雑になります。

同じ祖先が何度も登場する

2代、3代と血統をさかのぼっていくと、同じ生体が複数の場所に現れることがあります。しかも、その生体へたどり着く経路が一つとは限りません。COIでは、父方と母方を結ぶ有効な経路を漏れなく拾い、それぞれの影響を計算して足す必要があります。

共通祖先自身にもCOIがある

もう一つ見落としやすいのが、共通祖先自身にも近交があるケースです。その祖先がすでに近い血縁同士から生まれていれば、その影響も計算へ加わります。つまり、今見ている2頭だけでなく、その前の世代の血統まで確認しなければ正確に計算できない場合があります。

そもそも必要な血統書を探し出すのが大変

これまで飼育してきた生体も含め、ブリーダーは非常に多くの血統書を管理しているケースが普通でしょう。「この生体の父方3代目を確認したい」と思っても、まず目当ての血統書を探すところから始めなければなりません。

さらに、COIを確認するには交配する2頭だけでなく、その両親、祖父母、その先の祖先までたどります。必要な血統書を一枚ずつ見つけ、生体名を照合しながらつないでいく作業そのものが、計算以前に大きな負担になります。

計算ミスが起きやすい

血統書を見ながら名前を照合し、同一生体を見つけ、世代を数え、経路ごとに計算する。頭数が増えるほど、これを毎回手作業で続けるのは現実的ではありません。特に交配候補が複数いる場合、「この相手なら何%、別の相手なら何%」と組み合わせごとに計算し直す必要があります。

計算の概要を理解しておくことは大切かもしれませんが、実務ではシステムに任せた方が、速く、漏れなく比較できます。

無料のCOI(近交係数)計算ツールで確認する

Churupiでは、両親(父犬・母犬)のJKC血統書を撮影するだけで、交配時のCOI(近交係数)を自動で計算できる無料のCOI(近交係数)計算ツールも提供しています。撮影した血統書をアップロードするだけで、登録不要で利用できます。使い方・利用条件は、ツールの紹介ページでご確認いただけます。

ChurupiならCOIを自動で算出

血統書を何枚も探して並べ、共通祖先を確認し、交配候補ごとにCOIを計算する。仕組みを理解していても、日々のお世話や繁殖対応と並行して行うには大きな手間がかかります。

Churupi(チュルピ)では、登録された親犬・親猫の血統情報から、交配した場合のCOIを自動で算出できます。さらに、COIを一つの足切り指標とすることで、設定したCOI基準を満たす交配相手に候補を絞り込むこともできます。

複数の親犬・親猫を管理している場合でも、すべての組み合わせを一つひとつ手作業で確認する必要はありません。まずCOIの観点から候補を絞り込み、それぞれの生体の特徴や繁殖方針を踏まえて交配相手を検討できます。

「COIを計算すること」自体が目的ではありません。Churupiでは、COIを繁殖計画の初期判断に活用し、基準を満たす交配候補に絞り込むことで、ブリーダーがより重要な交配相手の検討や最終判断に集中できるように支援します。

Churupiでの交配ペア設定の流れ

1. 親犬・親猫の血統情報を登録

まず、親犬・親猫の血統情報を登録します。Churupiでは、血統書をアップロードするだけでその内容をスキャンし、祖先関係まで含めて自動で登録することができます。

2. COIや遺伝疾患情報から交配候補を自動で抽出

登録されている血統や検査情報をもとに、COIや遺伝疾患情報を踏まえて、交配候補となるペアを自動で抽出します。交配計画を立てる際に、候補ごとに血統書を見つけてきてCOIを計算する手間をなくし、条件に合う組み合わせから検討を始められます。

COIや遺伝疾患情報をもとに交配候補を絞り込む相性チェック一覧画面

3. 気になるペアはシミュレーションで詳しく確認する

候補の中で詳しく確認したい組み合わせは、交配シミュレーションから家系図を確認できます。予測されるCOIだけでなく、父方・母方にどの共通祖先がいるのかまで確認できるため、候補を絞り込む際の判断材料として活用できます。

交配シミュレーションで家系図と共通祖先、予測COIを確認する画面

4. ペアを選択して、交配記録を作成する

交配するペアが決まったら、ワンクリックで交配記録を作成できます。交配候補の選定、シミュレーション、実際の交配記録の作成までを一連の流れで管理できるため、繁殖計画に関する一連の作業を効率化できます。

その他の機能概要などは、Churupiの機能紹介ページからご確認いただけます。

まとめ:COIを理解した上で、日々の交配判断は自動化する

COIの考え方は、「父と母の両方に出てくる共通祖先を探し、近い祖先ほど大きく、遠い祖先ほど小さく影響を見積もり、すべてを合わせる」と整理すると理解しやすくなります。

単純な親子交配や半きょうだい交配なら人の目でも追えますが、実際の血統では必要な血統書を探し出すところから始まり、祖先の重複や複数の経路も確認しなければなりません。さらに、交配候補が変わるたびに同じ作業を繰り返すのは大きな負担です。

まずはCOIの概要を理解し、実務では自動計算ツールを活用して、効率的に交配候補を比較検討することが重要です。計算そのものに時間をかけるのではなく、「どの交配相手との組み合わせが適切なのか」を検討する、本来の繁殖判断にブリーダーの時間を使えるようになります。

参考資料

Churupi
Churupi サービスイメージ画面

健全なブリーディングを
もっとスマートに

動物たちと、今よりもっと向き合うために。日々の生体管理は、Churupiにお任せください。

トライアル期間中に解約すれば、料金はかかりません。